最先端のテクノロジーと生身の感動を繋ぐ。デバイスエンジニア 梶原洋平(34) – BIRDMAN メンバー紹介 Vol.5

okamoto | 2015.2.2

2001年から2010年末まで、バンド「LONG SHOT PARTY」のサックス奏者として活動していた梶原さん。解散後は音楽クリエイター集団「agehasprings」でアーティストのプロデュースやディレクションなどを手掛けられ、現在はBIRDMANでデバイスエンジニアとして活躍されています。エンターテインメント業界と、インタラクティブ業界。2つの世界を見てきた梶原さんが、日々思うこととは?

04_kaziwara インタビュー:岡本真帆 撮影:竹内冠太 協力:横川遥、大塚恵利佳

バンド「LONG SHOT PARTY」で10年間音楽活動


− 梶原さんはもともとプロのミュージシャンとして活躍されていたと伺ったのですが…

はい。2000年から約10年間、「LONG SHOT PARTY」というバンドのサックス担当をしていました。

− あの『NARUTO』の主題歌を務めていたというのは本当ですか!?

はい、2008年に発売したメジャー移籍後第1弾のシングル“distance”がオープニングテーマに抜擢されて。1897-a その後も『続・夏目友人帳』の主題歌Jリーグのタイアップソングを務めさせていただきました。
活動の後半の方は演奏と曲作りだけでなく、メンバーの衣装や髪をスタイリストさんと一緒に決めていったり、PVの絵コンテをつくったり制作のマネージメントをしたりとディレクターのようなこともやっていました。

− ブランディングやマネージメントまで!幅広いですね。2010年に、ファンに惜しまれながら解散されたんですね。

ボーカルのバセドー病が悪化してしまったこと、メジャーレーベルで活動するうちに「音楽を商売にする」という事に対する姿勢がメンバーの間で少しずつズレてしまったことが、解散理由でした。バンドなんでいろいろありますが、根っこのとこが気持ち良くできないなら意味ないですからね。解散後は皆、ミュージシャンや社長業とさまざまな分野でむしろ精力的に活躍してます(笑)。

フリーランスのディベロッパーから音楽ディレクターに


僕はバンドを辞めてからはしばらくフリーランスのディベロッパーとして働いていました。元々バンド活動をしていたころから、印税がないときや稼ぎが少ないときにWEB制作の仕事は受けていたので、それで食いつないで。その後、バンド時代の縁で音楽プロデューサー集団である「agehasprings」に加わりました。そこでは音楽ディレクターとして、いわゆる“人に振り向いてもらう仕事”をやってました。

− “人に振り向いてもらう仕事”というと?

今のレコード会社はいろいろあって、どんな曲がどうヒットするのか、あるアーティストを売り出すときにどのタイミングでどんな曲を出して、どのようなブランディングをすれば良いのか…ということを時代の流れを読みながら判断していくのが難しいんですね。予算もないのに戦略がないまま露出を増やして人目を惹こうとしたり。
そこで、外部のプロデューサーという立ち位置で、どんな曲・歌詞でどんなアレンジが良いか、お客さんへの見られ方はどんなものが良いかというのを、具体的な言葉や戦略を持って、アーティストをヒットに導く訳です。ヒットにはいくつか普遍的な方程式があるので、それをその人、その時代に合う形で道筋を立て、「興味のない人にいかに振り向いてもらうか」ということを徹底的に考えて落とし込む。そういう仕事ですね。

− ヒット曲を生み出し世の中に広めていくために、欠かせない存在なんですね。

その他にも、いろんなことをやっていたので社内では“何でも屋さん”のような立ち位置でした。
たとえば社内用のプロジェクト管理システムを一人でつくったり、自社アーティストを仕掛けるときに、変わったWEBサイトをつくったり。担当アーティストのレコーディングエンジニアなどもやってました。
他にもkinectを使ってライブ演出をつくったりと、社風的に最新技術を取り入れて新しいことにチャレンジする機会が多く、変わったことをやるときはすぐに「梶原ちょっと来て」と声をかけてもらってましたね。

“ぶっ飛んだイカすもの”を作るために


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世の中のステージ演出やPVが最先端のデジタル技術によって再びおもしろくなってきている中で、どうやって実現しているのかが少しずつ自分でも分かるようになってきました。一度、ステージ演出にテッキーなことを取り入れてみたのですが、音楽業界ってそもそも予算をとるのが難しいんですね。
担当していたアーティストのクリスマスライブの舞台演出をすることになったときに、ロウソク状に揺らぐ小さな照明200個が、全台独立して無線と設置箇所の音響で変化するデバイス群を制作しました。だけど実例のない演出は理解してもらうのが大変で、なんと制作に必要な予算は完成するまで確保してもらえなかったんですね。

− それはヒヤヒヤしますね…!

それでもおもしろいものになるのは確信していたので、土日に夜な夜な独りではんだづけしてプログラム組んで。最終的にはライブに参加したお客さんにとても喜んでもらえるものが出来上がって、反応も上々でした。結果制作物もクライアントが買い取ってくれることになって。ほっとしましたね。
そのうち、ある程度の規模の予算がある中で、ぶっ飛んだイカすものをつくれたら良いなーと思うようになって、ユニークなことをやっていそうな会社を調べはじめました。そんな中でBIRDMANに出会って。2013年の11月ごろ築地さん(弊社代表)に面接してもらって、その場で「入ってやってみる?」という話になり、その場で入社が決まりました(笑)。

− 今はBIRDMANでどういったことをされていますか?

デバイスデザイナー、プログラマー、サウンドデザイナーという肩書きのもと、デバイスのセンサー周りの制御システムやアプリ開発を担当することが多いです。最近はインスタレーション、イベント案件が続いていて、『TOYOTA Esquire』『Sony Walkman』などに関わっています。自社プロジェクトとして制作したインスタレーション『ZEN TOILET』ではラッキーなことにディベロッパーの(阿部)啓太くんと一緒にロンドン出張もしました。この案件では音楽全般の制作も担当しています。
ホントに暇することなく、おもしろい案件に次々とアサインしてもらっているので、ありがたいですね。

“2回目”って、おもしろくない!


− 普段、技術面の勉強はどのようにされていますか?

IMG_3060一番の勉強方法は、キツめな締切のある案件に入ってしまうことです。前例がない案件がほとんどなので、結局はやりながら覚えていくのが学習コストも低いし、早いですね。
その時点で明確でなくても、あの手この手で締切までにはちゃんと形にできるので、とにかくいつも思い切ってチャレンジさせてもらってます。

− 新しいこと、やったことのないことに挑戦するのって、不安はないんでしょうか?

うーん、僕、1回やったことがあることにはもう興味がないんですよね。2回目ってもうおもしろくないじゃないですか?(笑)
人によるかもしれないんですが、僕はすごく飽きっぽいです。常に新しいことをやっていきたいですね。

− 作り手には2種類のタイプがいると思うんですよね。いろんな方向に広く泳いでいくタイプと、どんどん深く潜っていくタイプ。梶原さんは前者なんですね。

たしかに、音楽以外あまり同じ場所に留まり続けたことがないですね。まぁ10年間バンドをフラフラやっていたこともあって、20代のころは所謂「働いた」「勉強した」という記憶がないですが…(笑)。「働いてる」って感覚があるのはここ数年で、今は「ちゃんと働かなきゃ」と思ってますよ。

あくまで持論ですが、特にエンジニアとしてやっていくなら一つのスキルや言語を極めよう!みたいなことはリスキーだと思っていて。
プログラマーとしてのレベルの話をするなら、世界のトップエンジニアとの比較でないと意味ないし、その一点で勝負するのはかなりの偏愛とコストと素質が必要です。
その割に、例えばiPhoneみたいなのが出て一瞬で不要になる専門技術は今後もたくさんある。なので僕はどんな状況でも「使える」知識や技術、感性を最重要視してます。一見無意味っぽいものでも幅広く知り分析することは、普遍的なエッセンスを知ることにつながります。
特に新しくチャレンジングな案件に携わりたいと思うなら、自分自身が常にアンテナを張る一方、普遍的な「そもそも人が求めてるものってなに?」っていうキモも分かってないといけないなーと思います。そういう意味では、前職までの知識をフルに活かしつつ、どんどんいろんな新しいことにトライしたいですね。

テクノロジーが発達した未来、人類に残るもの


− 梶原さんが今後チャレンジしていきたいことを教えてください。

もともと興味本位で、どんなテクノロジーがどんな流れで生まれ、ハックされて、世の中を楽しく変えているのかを内側から見たくて、この業界に来ました。
新しいことにどんどんチャレンジするということ、そしてそれをエンターテインメントに落とし込めるような仕事がしたいですね。特に音楽業界はマネタイズとかいろいろ課題はありますが、その分参入の余地が大きいと思います。
これからどんどんテクノロジーが発展していくと、きっとWEBサイトってなくなっていくと思うんです。いろんなものがインターネットとつながると、インターネットは「アクセスする対象」から「見えない」インフラになっていく。あって当たり前のものになっていきます。さらに人工知能の発達が進めば、仕事も機械に取って代わられるようになっていくと思うんです。プログラミングもコンピューター自身が生成した方が早いので、プログラマーという職業自体、近いうちにほとんど無くなるでしょう。
そうなると人類に残るのは、エンターテインメントやアートのクリエイティブといった「感動」が得られる分野だけなんじゃないかなと。エンターテインメントは、生身の人間の体がある限り、みんなが求めるもの。みんないつでも感動したい。させてもらいたい。そういった部分の価値は今後ますます高まっていくと思うんです。
インタラクティブ業界とエンタメ業界がもっと仲良くなれるように、「技術」と「感動」を繋いでいくことにチャレンジしていきたいですね。

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梶原洋平(かじわら ようへい)・Device Designer / Programmer / Sound Designer
音楽家、プログラマー。2001年、プロサックス奏者としてバンドLONG SHOT PARTYに参画。Limited Records, R&C Recordsを経て、DefStar Recordsからメジャーデビュー。通算5枚のシングル、6枚のアルバムをリリースし、『NARUTO -ナルト- 疾風伝』や 『続・夏目友人帳』のOP、 2009年「スカパー!Jリーグ中継オフィシャルソング」など、数多くのタイアップでヒットを出し、2010年末まで活動する。バンドの解散後はクリエイティブディレクターとして2011年からクリエイター集団agehaspringsに参加。2014年1月BIRDMANに入社。これまで担当した案件は『KIRIN DREAM RACE』(KIRIN)、『Vitz HAPPY FOOTWORK計画』(TOYOTA)、『ZEN TOILET』(BIRDMAN)、『WALKMAN Hi-Res Symphonic Illusion』(SONY)など。


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企画で必要なこと。- 編集スパルタ塾レポートVol.2

okamoto | 2015.1.5

こんにちは!岡本です。
明けましておめでとうございます!本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、前回より少し間が空いてしまいましたが、
今回のブログは、日々スパルタ塾の課題に取り組むにあたって感じていることをお伝えします。


- 企画にはイタコ力が必要だ。


第8回の課題テーマは『GINZA』の中島敏子編集長による”GINZAという雑誌の中で表現できる極北のファッション企画を提案せよ!”というものでした。
ここではもちろん、「極北」とは何を指すのか? 極北のファッションとは?ということを考えて企画に落とし込んでいく必要があるのですが、
その前にGINZAという雑誌はどんなトーン&マナーを持っているのか、
編集長である中島さんはどんな方なのか、
どのような方針で編集されているのか?ということを調べられるかぎり調べ尽くしました。
出題者や課題背景のことをしっかりと理解した上で、課題に取り組み始めます。

菅付さんは講義の中で、編集者にはイタコ力が必要だと何度もおっしゃっています。
自分がイタコになるくらい、相手のことを考え続ける。
そうすると相手が降りてくるから、その人になりきって企画を考えるのが編集者だ、と。

私も課題に取り組むにあたっていつもイタコになることを意識するのですが、これがなかなか難しいです。
いつも悩んでしまうのが、分析と企画にかける時間のバランス。
しっかりと分析ができていても、肝心の企画が立てられなければ意味が無いし、
いきなり企画を立てても、理解不足のままでは的外れな方向にいってしまう。
特に予備知識がない分野がテーマのときは結構しんどいです…。
限られた時間の中で、毎回企画をカタチにしていくのは想像していた以上に大変な作業でした。


- 企画は飛距離


毎回、プレゼンの権利を与えられるのは約10人。
今回の発表者の10名のみなさんは、総じて企画のレベルが高く、
GINZAのトンマナを理解した上でそれぞれが考える「極北」を軸にした企画が次々と提案されていきました。

そこで印象に残ったのが、中島さんの次の言葉。

 

編集者として大事なことは、マーケティングをきっちりとすることも大切なことですが、
そことは切り離して、ピカッと光る企画力を自分の中で合成すること。

 

 

企画力って、飛距離だと思うんですよ。
その課題に向かって、どうしようと迷うのではなく、一回遠くまで行って帰ってくる。

 


また、菅付さんもこのようにおっしゃっています。
 

どんなにいいお膳立てやテーマ設定があっても、企画に飛距離がないとぐっとこない。
逆に企画に飛距離があれば、テーマ設定が多少乱暴でも、人はぐっとくるんです。


 


- バント狙いじゃサバイブできない


この言葉は受講生のプレゼンへのフィードバックとして語られたものだったのですが、
講義の最後にも菅付さんはこのようにお話されていました。

 

スパルタ塾では、バント狙いではなく、
なるべく飛距離のある大ぶりな企画を出して欲しいと話しています。
バントを10本打った人は誰にも覚えてもらえないけれど、ホームランを打った人は覚えてもらえる。
大振りをしてくれる人は当たっても当たらなくても覚えてもらえる。
会社員でもフリーでも、バント狙いの人はサバイブしていけないとぼくは思っています。


 


…これはまさに自分のことだ、と思いました。
私はなかなかホームランが出せません。それは、大空振りをするのが怖くて
ついつい少しだけ当てるバントの様な打ち方を狙ってしまうからです。

以前、中村勇吾さんがゲストの回で、私はプレゼンの機会を得ることができました。
そのときのフィードバックは、
「課題をとらえてど真ん中の企画を出しているけれど、ツイストが足りない」というもの。
私の提案は課題そのものからの飛距離が足りず、
人を惹きつける企画として成立していなかったのです。

今回、企画のグランプリとして中島敏子賞が与えられたプレゼンは、
きらりと光る独創的なアイデアが評価されたものでした。

「バント狙いじゃ生き残れない」。
まさに心の中で気にしていたことを言い当てられたような気持ちで、講義をききながら猛反省をするばかりでした。


結局今回は、「極北ってなに!?」「そもそもファッション企画って何をすればいいの?」
考えれば考えるほどどつぼにはまってしまい、うまく企画をまとめあげることができませんでした…。

いつも分析から企画へ思い切ってジャンプをする瞬間の見極めが難しく、
なかなかテンポ良く踏み切れずにいるのが自分自身の課題です…。
ぐずぐずと考え続けてしまうので、勇気を出してバットを振り切らないとだめですね…。
思い切り空振り三振するくらいの気持ちでがんばります。


今回は課題を通して日々感じていることをお話しました。
スパルタ塾にいると、これまで自分がどれだけ狭い範囲の世界にいたかを思い知らされます。
世の中本当に知らないことばかりで、もっともっとアンテナを張って意識的に情報を取り入れていかないとだめだ!と焦る日々。
菅付さんもゲスト講師の方々も、みなさん情報との付き合い方がとてもお上手です。
また、見事なクリエイティブジャンプに成功している企画は、
“別のものとの意外な組み合わせ”に成功していることが多いように感じます。
次回のブログは、インプットとアウトプット、情報との付き合い方について感じていることをお話ししたいと思います。

BIRDMANの目指すビジョン

Roy | 2014.12.24

猿人さんの超シャレオツな忘年会に行ってきた。いや、オシャレでしたわ。しかしBIRDMANのメンバー6、7人で行ったんですが、ちょっと一人ぼっちの時間が多かったのでそそくさに会社に戻り、このブログを書くことにしたのだ。しかもすごい重い感じのタイトルを書いてしまった・・・。

さて、、、周知の事実でBIRDMANは今年で10周年を迎えた。しかし、この10年目というのはBIRDMANにとって正直最悪な年でもあった(余談だが個人的にも本厄で最悪な年…)。2014年の年始に、次は役員と思っていたディベロッパーのリーダーが突如独立を宣言したのだ。しかもリーダー2人同時に。。。当初頭が混乱した。思い描いていた未来が目の前で崩れたような気がした。一緒に夢を見ようと思っていた矢先にだ・・・・って、、、、

あれ???? 思い描いていた未来? 夢???

そういえばここ4、5年はそんな話してないぞ?BIRDMANの夢、ビジョンってなんだっけ?
ここに来てようやく気付いた。今BIRDMANには目指しているビジョンが無いってことを。これでは人はついてこない。改めて納得。実は10人以下だった時にはビジョンがあった。それは「有名になりたい!」って事。あの頃は雑誌Web Designingに載った!とか、今はなきMdNに載った!とかFWA獲った!とかで大騒ぎしていた。その一つ一つが「有名になりたい!」という夢に向かっている手応えを感じていた気がする。メンバーの一人一人もそれに向かって行っていた。でもなぜかいつの間にそれがなくなってしまっていた・・・。そして大量に人が辞めていった。BIRDMANには作りたい!という欲求がある人達の巣窟だ。でもそういうクリエイター達はビジョンの無い者にはついて来ない。辞めて当たり前だ。

今年、本気で頑張ったリクルートで一時はどうなるかと思った人事も優秀な人達を集めることができた。今やBIRDMANのディベロッパーのほとんどが入社1年前後だが、とても優秀なクリエイター達が集まってくれた。彼らが集まってくれたのは本当に誇りに思うし、本当に感謝している。(自分はあまり褒めない方なのでこの場で入ってくれて来てくれてありがとうと言いたい。)ベテラン勢が抜けたというのは、自分だけでなく、彼らにとっても相当なインパクトがあったようだ。弊社ではいつも年末になると面談用に自己診断表とアンケートを配るのだが、ほとんどのディベロッパーからのアンケート内容がそのベテラン勢が抜けた事に相当なショックを受けたことが書いてあった。しかし、よく見るとそれらはポジティブに捉えられていた。「今まで出来なかった、コアな部分に関われるようになって嬉しい」というような事が書いてあった。とても嬉しかった。まさしく世代交代。

思えばこの10年がむしゃらに目の前の仕事をやってきた。自分たちのためにどんどんクオリティーを高めてきた。でもいつの間にビジョンを忘れてがむしゃらに目の前の仕事を頑張る事だけになってしまっていた。それがどこに向かって行くのかもわからないまま。人は行き先の分からない船には乗らない。BIRDMANにいるようなモノづくりしたいクリエイター達には特にだ。辞めてない人たちもこのままでは時間の問題だろう。

さあ、仲間は揃った。同じ過ちは侵さない。

目指すべき夢・ビジョンってなんだ?もう一度考えた。けっっっこう考えた。
業界のナンバーワンを目指す?
憧れの会社がゴロゴロいる中でナンバーワンを目指すっていうのは、以前は恐れ多くて言えないって思っていたんだけど、、、。ちょうど10年たった今、世界的に有名なWebアワードのThe FWAの受賞数が世界でTOP40に入り、日本では最多になった今、ナンバーワンを目指す!なんて言ってしまっても良いような気もする。。。でもなー、なんか違う、しっくりこない。別にナンバーワンになりたいワケじゃない。

世界を良くしたい?うーーーーーん、そんなデカイこと言えないなー・・・。やってることって広告だし・・・。自分は広告が好きだし、そこで勝負したいと思っているし。

なんだろう?もう一度よく考えてみた。そもそもなんでBIRDMANを作ったんだっけ?・・・
弊社のラウンジに飛んでいるBIRDMAN像を眺めながらそう思った瞬間にピンと来た。
ああ、ヒーローになりたいんだった

BIRDMANはクリエイティブ業界のヒーローを目指す

ということをこれからのビジョンとして掲げようと思う。
HERO:つまり「憧れの存在」になるということ。世界の人たちがBIRDMANと仕事をしたい!、BIRDMANみたいになりたい!と思ってもらえる会社に。BIRDMANの社員がBIRDMANであることを誇りに思える、彼ら一人一人がヒーローになれるような会社を目指したい。憧れられる会社を目指したい。
でもヒーローになるってのはなかなか難しい。ナンバーワンになるって事がイコールでヒーローではないし、ヒーローって複合的な要素で出来ている気がするからだ。悪役だってヒーローになれるし2番手だってヒーローになれる。だからしばらくの間、どうしたらヒーローになれるのかを模索してみようと思う。もちろん一人では出来ない。BIRDMANのメンバー全員が同じ方向を見て初めて達成出来るものだと思っている。そして、そもそもこのビジョンを掲げる理由もそれだ。

同じビジョンを全員で共有すること。

ビジョンが出来る事で、自分のアウトプットや行動に指針が出来る。この方向で良いのか?はたしてこのアウトプットを積み重ねたらヒーローになれるのか?自分に対して言うと、今まで興味が無かった海外展開や海外からのオファーも、ヒーローを目指すならそこは通らなくてはならないのかも知れない、、、、とか。
とにかく、BIRDMANらしいアウトプットをし続けるのは絶対に必要だろう。仕事だけではなく遊びの方も全力で取り組みたいし、それをアウトプットしていきたい!それはヒーローになる要素が入っていると思うし。(余談だが、個人的に憧れるている会社はSwedenにあるNorth Kingdomだ。)

現在、社員面談を絶賛実施中の最中にこれを書いたのは、さすがに一人ひとりにこの内容を語っていくのは時間が半端無くかかるので先に読んでおいて欲しい、と思って書いた訳では決して無い。ほんとに。完全に無いと言ったら嘘になるかも知れないけど。しかしちゃんと文字にすることで、ちゃんと言いたいことを伝えたいと思ったのだ。是非弊社社員の皆さんには面談前に読んで欲しい。無理に共感する必要は無い。ただ共感出来ない人は居づらい雰囲気になっていくと思う。同じ方向を目指すというのはそういうことだから。

最後に社員へ。残念ながら自分は社長や経営者としての資質はあまり無い。と思っている・・・。自分はやはりクリエイターだと思っているし、そっちの存在意義の方が大きいと思っている。しかし、だからこそクリエイター達の事を第一に考えた環境づくりをしてきたし今後もしていくつもりだ。でも恥ずかしながら一番大きな「会社のビジョン」というのをすっかり見失っていた事は猛反省中だ。しかし、その忘れ物に気付いた今、新たな次の10年に向かって飛び立つ前にこのビジョンを掲げる事で、全員が同じ目標に向かって飛んでいけるように全力でリードして行こうと思うので、全力でついてきて欲しいし力を貸して欲しいと思う。

以上、みなさん良いお年を!

Vineで見るケミカル鍋

yokokawa | 2014.12.22

こんにちは。PMの横川です。
最近観た映画では、『6才のボクが、大人になるまで。』がお勧めです。
さすがリンクレイター、何気ない日常会話が秀逸。

さて、12月19日はカイブツ社オフィスにて「ケミカル鍋」が開催されました。
インタラクティブ業界各社が趣向を凝らした鍋を振る舞う、年末恒例行事です。
BIRDMANは、築地総料理長のもと、『汁無し餃子鍋』をつくりました。

以下、舞台裏をVineでリポートしまーす。

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12月18日(前日)

19:00 ディレクターの拓郎さん、岡本さんと近所のスーパーへ。
築地総料理長の作成したレシピに基づいて買い出しをします。豚ひき肉を買い占めました。


20:00 デザイナーの大塚さんも加わって、仕込み。とにかく野菜を切る…手が痛い…。


23:00 今日はとりあえず150個分のタネを作ったところで終了。
溜まった仕事に思いを馳せ、しばし呆然としました。


12月19日(当日)

12:00 残りの150個のタネづくりと、特注した大判の皮に包む作業。
ディベロッパー陣も助けてくれます。他フロアからは、餃子臭いというクレームが寄せられました。


18:00 完成。380個もつくってしまい、果たして焼き終わるのか、という一抹の不安がよぎります。


19:30 焼き担当スタッフは、いざカイブツ社へ!


20:00 その一方で粛々とお仕事を頑張るスタッフもたくさん。


21:00 会場に到着すると、すごい熱気。BIRDMANチーム、ひたすら焼き続けます。




いつもお世話になっている方々に召し上がっていただき、在庫は順調に減ってゆきます。




25:00 ラスト1個のゆくえは、dot by dotの富永勇亮さん! 記念にタケルさんとハグ。


28:00 BIRDMANオフィスに戻って片付け完了。おつかれさまでした。



カイブツ社の皆さま、何から何まで素晴らしいホスピタリティ、
本当にありがとうございました。
BIRDMANブースにお立ち寄りくださった皆様、どうもありがとうござました。
「おいしい」という感想をいただき、すべてが報われました。
来年もどうぞご期待ください!

作り手として、グローバルスタンダードで勝負する。アートディレクター 星川淳哉(34) – BIRDMAN メンバー紹介 Vol.4

okamoto | 2014.10.20

ファッションを中心としたデザイン会社やマス広告の制作会社を経て、2010年にBIRDMANへ入社した星川淳哉さん。冷静な観察眼とユーザーを常に意識した丁寧なデザインアプローチはクライアントからも評価が高く、社内の人望も厚いアートディレクターです。そんな星川さんが仕事をする上で、大切にしていることとは?星川さんのデザインに対する想いに迫ります。
 
03_hoshikawa_w1200_v02 インタビュー:岡本真帆 撮影:竹内冠太 協力:伊藤拓郎、山田繭、横川遥

DJとしての活動を経て、デザインの世界へ


− 星川さんは大学では建築を学んでいたとのことですが、もともとデザインに興味があったんですか?

高校二年生のころにクラスメイトの影響で安藤忠雄氏の建築に興味をもったことがきっかけでした。
建築って、人の生活をデザインしていくところがあって、うわべだけではなく、すべての住み手、使い手のニーズを満たすことを前提として、その上にいかに創造的なものをつくっていくか、ということをやっているんです。そこに魅力を感じましたね。それで、建築学科に進むことに決めました。

− なるほど。大学生のころはどんな学生さんでしたか?

普通の大学生らしくたくさん遊んでましたね。授業が終わったらいつも渋谷の宇田川町に行って。当時は宇田川町がアナログレコードのメッカで、毎日レコ屋通いしてました。バイト代はほとんどレコードに消えていって、月10万円以上買ってた時期もありました。当時は1枚1000円しないくらいだったので、月によっては100枚以上レコードをDigったりして。今よりもずっと自由にお金を使っていたなぁと、改めてゾっとします(笑)。
大学のころからDJをやっていて、いくつかミックステープ作品をリリースしたり、結構真剣に活動してましたね。渋谷のDMRやManhattan Records、HMVなどの店舗に卸して販売していました。

− かなり本格的ですね!

IMG_9729はじめは友達のデザイナーにジャケットのアートワークをつくってもらっていたんですが、途中からやっぱり自分でつくりたくなってきて。コンセプトと自分が示したいビジュアルをもっとストレートに表現できたらいいな、と。それがデザインに興味をもつようになった入り口でした。
表現したい想いはあるけど、ツールの使い方とか入稿データのつくり方とか、システマティックなデザインの基本が全然わかってなくて。そういうことをどこかでちゃんと学びたいなと思って、大学卒業後の1年間、DJをやりながらデジハリに通いました。

デジハリ卒業後は、かねてから心の中に抱えていた『今後活動していく上で、少なくとも言語の壁で自己表現の幅を狭められたくない』という想いから「海外に行くならこのタイミングしかない!」と、語学留学を兼ねてカナダに行きました。自分のキャリアスタートが遅れたことをポジティブに捉えて、「今しかできないことをどんどんやろう」って思ってたんです。
語学を学ぶ目的のほかに、世界のさまざまな文化に触れたいと思っていたこともあって、留学先は移民率50%以上を誇るカナダ最大の都市トロントにしました。当時はデジタルクリエイティブが徐々に広まってきた時期でもあり、海外クリエイティブをカルチャーとして肌で感じることができる貴重な時間でした。

グラフィックデザインを経験後、マス広告の制作会社へ


− 日本に帰ったらどうするか、という構想はトロント滞在中から持っていたのですか?

ずっとグラフィックの仕事をやりたかったので、帰国してグラフィックがメインの会社を探していました。

− そしてデザイン会社のSIMONE(シモーネ)に入られたんですね。

当時はグラフィカルな紙表現にものすごく興味があったこともあり、入社後、何を勘違いしたのか「WEBはやりたくないからグラフィックをやらせてください!」と言い続けていました(笑)。ファッションブランドのWEBサイトをつくることが多かったですが、しぶとく言い続けていたおかげか、某ファッションブランドのブランドブックの制作もやらせてもらったりして。ファッションというのはインスピレーションをすごく大事にする仕事が多く、とても刺激的なのですが、デザインをもっと広告的な視点からロジカルに突き詰めていくプロセスを学びたいと感じ始める自分に気づき、その後、マス広告の制作会社TOKYO GREAT VISUAL に転職しました。そこではかなり忙しく、地獄のようにビジーな日々を送っていましたが、マス広告の経験を十分に積むことができました。

− 星川さんがBIRDMANに来られたのは、2010年ごろですね。

最初の会社では「WEBはやりたくない」と言ってたりした時期もありましたが、ここでWEBのポートフォリオが結構増えて。自分の実績をより活かせるようにと、WEB制作に特化した会社を志望して何社か調べていく中で、最終的にBIRDMANに入りました。最もキャラ立ちしていてエッジが効いていたので、何か大きなことができそうな雰囲気があったんですよね。

初心に帰る、常に疑う


− NISSAN JUKEのお仕事で代理店から「BIRDMANさんのデザインはいつも一発OKなんですよ」と評価していただけた、という話を伺いました。そういった信頼感はどこからくるのでしょう。

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そもそもデザインって、アートではなくて機能なんですよ。説明なしにきちんと伝わるもの。そこをしっかりケアできていたから、そういった嬉しい言葉を言っていただけたのだと思います。僕らは毎日同じデザインとにらめっこしながらちょっとずつ作業していく訳ですが、常にエンドユーザーのことを考えて向き合っていかないと、真夜中に書いたラブレターみたいに表現がどんどん自己中な恥ずかしい方向に突き進んでしまうことがよくあります。「本当にそれがベストなのか?」といつでも客観的に観察できること、初心に帰ってまっさらな状態で、つくっていたデザインと対峙できることが大事です。例えば、「これって、ズブの素人の彼女にもきちんと伝わるかなぁ・・・」て感じでね(笑)。

JUKEもなるべくシンプルで直感的にわかるものをつくろうと意識していました。そもそも、この案件はアプリっぽい要素が強いので、まずは触って楽しんでもらうことを目的にしていて。
juke_fwa_pc_capture_02クライアントから「説明文を入れて分かりやすくしたい」とお戻しがあったときに、僕はこう伝えました。「これはアプリをつくっているんだと思ってください。Googleマップを見たときになんの説明もなく、なんとなくクリックしたりドラッグしたりして、だんだんその魅力にはまっていくように、このコンテンツもその体験行為自体に意味があるんです」と。そう話すと、すべて納得してもらえました。
クライアントの要望すべてをそのまま取り入れようとすると、デザインが破綻してしまうケースも少なくありません。だからこそ、そこで考えなきゃいけないんですよね。ユーザーにとって本当に大事な情報とは何なのかを見極めて、クリエイティブとしてどこにそのバランスを置いていくのか。
クライアントも僕らもコンテンツをより良いものにするために意見を出している。言い方が違うだけで目的は一緒なんです。みんなが思っているものをエンドユーザーにとって分かりやすいベストな形でアウトプットするというのが、僕たちデザイナーやアートディレクターの役割だと思います。

− 星川さんのデザインのビジュアルには驚きや納得感があるなと思います。

ビジュアルの見せ方について、何事も意識的に捉えることが大事だと考えています。
僕は応募要項みたいな誰も見ないような部分のデザインにこそ、デザイナーの真価が問われると思っていて、そこを手抜きする人やそもそも見えていない人は、たぶん物事を丁寧に見られていない人だと思います。常に自分のデザインを疑って、もっと良くするにはどうすればいいか、というマインドのもと、目に映るもの全てと日々向き合っていかないと気づかないことかもしれません。文字組や文字詰め、余白の取り方、パーツのシャドウの落ち方とか、挙げればキリがないけど、全体のビジュアル以外のちょっとした気の使いよう、その配慮の積み重ねがコンテンツの厚みになっていく。単純にそのまま流しても誰も気にしないかもしれないけど、どこかほんのり感じる空気感のクオリティが確実に上がってくる部分だと思います。

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− そういった「もっと良くするために常に疑う」という姿勢はいつ身についたのでしょうか?

今思うと、忙し過ぎてギリギリのところでやっていた時期があったからですね。業界全般に言えることですが、数年前から比べると制作スケジュールが半分くらいになっていて。でもスマホやタブレットなど対応しなくちゃいけないメディアが増えてきている。決められた時間の中でいかにクオリティを上げるか、ということを常に意識するようになりました。当然ですが、クオリティアップの為とは言え、ディレクターに「ちょっとスピード感遅いかな…」と言われた瞬間に、そのディレクターの信用を失うこともあるわけで。スピードとクオリティを求めるために、どこで効率アップを図るかというのを考えるのは大事ですよね。手抜きするという訳じゃ全然なくて、時間をかけなきゃいけない部分に時間をかける為の効率化というか。自分のデザインを疑う時間をきちんと確保する為というか。なかなか難易度の高いことだとは思いますが、一個一個、適当に処理していくのではなく、結局丁寧につぶしていくしかないですよね。

日本の某自動車ブランドが、クルマのデザインを右利きのデザイナーにあえて左手で描かせたっていう逸話があって。「利き手だと描き慣れた惰性の線を描いてしまうから」だと。それを利き手じゃない方で行えば、脳が「ちゃんと描かなきゃ」と意識的になる。そういう、惰性でデザインしないっていうのは大事だなって共感した覚えがあります。デザインソフトで何となくイイ感じに仕上がってしまう的な、惰性のデザインから距離をおくようにする意識は大切なことだと思います。「脳をちゃんと動かしてデザインする」ですね。

− 星川さんが手掛けたものが、どれひとつ同じデザインアプローチではないっていうのも、そういう「惰性でつくらない」ところがあるからなのかもしれないですね。

とはいえ、効率的にそんなのが生まれてくるわけではないですからね。スーパーマンみたいに(笑)。そりゃあ、すごい努力をしないと。やっぱりデザインってゼロからイチを生み出したりもする大変な仕事で、苦しい部分がほとんどだと思うんです。だけどそこさえ生み出せれば、あとはその流れに乗ってつくっていけばいい。まずはそこの“苦悩する”という部分をポジティブに捉えて、課題解決に向かって自分のクリエイティブを発揮することが大事ですよね。

人の想いに火をつける、思想のあるデザイン


− 星川さんは、WEB業界など自分がいる位置だけではなく、海外の事例や、他の広告メディアなど、広告以外の音楽や建築にも造詣が深くて、いろんな目線を持っている方ですよね。そのバランス感覚があるから、お話にも説得力がある気がします。

僕が建築を諦めたひとつの理由としてあるのは、建築って、人の想いすべてを把握してデザインしなきゃいけないってことなんですよね。
建築はその人の生活の基盤でもあり、そこでその人の人生ドラマが生まれる。そういうものに対してどういう思想で、どういう機能美を提供するか?みたいな、哲学も歴史も思想もわかった上でトレンドも把握して、その中でちゃんと生活できるユーザビリティも発揮して…みたいな、もう、すべてを創造する行為だと思うんです。神様じゃないと建築物って建たないんじゃないか?!っていうくらいの大がかりなことだなと。建築は自分にとって、とんでもなく大きすぎる哲学でした。

− 果てしない創造行為なんですね。

そうですね。その人にとっての地球をつくってあげるようなものですよね。でも最近、WEBの考え方も建築にすごい似てるなと思っていて。WEBも人の想いに火をつける仕事。さらにメディアも多様化して、行動範囲もターゲティング広告が当たり前のさなか、タッチポイントも増えている。どこに対してアプローチしていくのか。ありとあらゆることを配慮して、その先を、先手を打っていかなきゃいけない。そういうところは建築の考え方に似ていると思います。

− 建築はたくさんの視点を持っていないとなし得ない行為で、そのことが星川さんの現在の視点の多さに結びついているのかもしれませんね。

さっき、デザインは機能だと言いましたが、とはいえ自分にしかできないアウトプットみたいなことは常に意識するようにしてます。時には、そこに込める思想みたいなものがデザインを大きく昇華させるケースも少なくないかなぁと。明確な意図や思想を感じさせるようなデザインを目にしたときに、「あぁ、やられたなー」て悔しい気持ちになることもありますね。それがうっかり身近な人だったりすると、その気持ちも倍増しちゃったり(笑)。

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グローバルスタンダードで勝負する


− これから星川さんがアートディレクターとして目指すものを教えてください。

僕たちの仕事はあくまでもソリューションを考えることが第一です。と同時に、一般のユーザーが最初に触れるものは、まずはビジュアルであったりもします。だからこそ、そこのクオリティ意識は常にグローバルスタンダードで考えてないと、どんどん時代遅れになってしまうと思っています。

UI設計に優れたFantasy Interactiveという会社があったり、いつもアウトプットのクオリティが高いNorth Kingdomだとか、他にもUNIT9B-REELfirstbornとか、あげればキリがないですが。デジタルというジャンルで言えば、FWAランキング上位会社は技術力もさることながら、いろんな意味でクオリティが非常に高いので、作り手として常にそういった次元で制作することが当たり前の感覚で、日々目の前のものと向き合っていくべきだと思います。幸いにもBIRDMANはFWAも多く獲ってるし、海外の案件も少なくない。国とクライアントは違えど、勝負するならそういう人たちと切磋琢磨していきたいですね。



星川 淳哉(ほしかわ じゅんや)・Art Director / Designer
DJ、グラフィック・ウェブデザイナーを経て、2010年よりアートディレクターとしてBIRDMANに所属。主な実績として、Nissan – JUKE / PUMA – Run Navi / エバラ – お口の中の遊園地 / KIRIN – Dream Race / Uniqlo – UU Map / Intel – Pop Up Theater / Sony – Sound Premium / Nikon – Eco Journey / 資生堂 – 専科 など他多数。カンヌ国際広告祭、ONE SHOW、NY Festival、FWAなど多くの広告受賞歴あり。


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Tokyo Designers Week in Tent London

Roy | 2014.9.24

施工2日間〜本番1日目

Tokyo Designers Week in London は1日目をなんとか大盛況のうちに終わることができました。
丸2日かけて施工しましたが、本番の日(今日)に朝8時入りで調整、10時スタートでしたが、間に合わずそのまま調整を続けて10時半から開始ができました。。。
ここまで来るのに相当な苦労がありましたが、さらにロンドンに来てまでこんなに苦労するとは。。。空港で超過料金を30万取られそうになったのであえなく成田に捨てた床に貼るようのPタイル(15kg)。1日目はそれを求めてロンドンをさまよいまくり(結果諦めた)、2日めには、手荷物で持って行った(クソ重い)Boseのウーファーが壊れるトラブル。またもやロンドンをアンプ内蔵ウーファーを求めて彷徨うことに。。。これは以外にもすぐに見つかったのですが、持ち帰ってみたら音が出ない・・・。色々調べた結果、電気屋のおっさんがリモコン入れ忘れたというトラブル・・・。

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まあ、色々ありましたが、10時半から23時まで、見事に列がほとんど途切れることがなくとても好評でした。特に今回はタイトルが良かったな、と。読み通りにZEN TOILETが外人にうけてました。今回の施策でとても良かったな、とおもうのが、出てくるみんなが全員笑顔で出てきて、”Super Cool!” とか”Congratulations!” とかほとんどの人が感想を言ってくれたのと、「面白かったから友達を連れてきたよ!」とか「明日友達つれてCome Backするよ!」とか言ってくれたりとかイベントでしか味わえないことがふんだんにあったことです。しかもまだ平日の1日目・・・。

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今回のZen Toiletはそもそも、Projection Mappingはトイレでやるのが一番自然なんじゃないか、という視点から来ています。つまりトイレでは万人が同じ格好をするし、1人の個室なのでその人の視点からのプロジェクションができる、個人のプロジェクションの最も自然な形だと思ったところから来ています。完全に一人しか入らない密閉された個室なんてトイレくらいですから。元々これはBirdmanの改装パーティーの時に簡易的にやったのですが、結構面白かったので、このエキシビションでもこれを拡張してやろう、ということになりました。

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なぜZenなのかというと、コンセプトの出所としては、トイレの空間って人によって様々な使い方があるよね、っていう考えからです。つまりスマホ見てる人もいれば、ゲームやってたり、漫画読んでたり、ぼーっとしてたり、考え事してたり。そこでまあ、ロンドンだからなー、というのもあって日本のウォシュレットとか音姫とか、日本のハイテクトイレって、日本のサブカル的な感じで有名だと思うんですが、それをさらに進化させて、「ウンコをしている時間に、同時に心もキレイにできる装置」を開発しました!という触れ込みでやったら面白いかなー、という感じでスタートのがZen Toiletです。
まだ1日目目なのでこれくらいにしますが、、、かなり好感触なので良かったです。まさか行列ができるとは思ってなかった。

 

2日目〜3日目

こなれてきたせいか、1日目のようなバタバタした感じにはなりませんでした。しかしイベントの途中でも改善点があれば改善するのがBIRDMAN。2日目で検討したのがKinectの位置です。弊社にも同じ空間を作りましたが、やはり完全に同じ空間ではないため、Kinectのボーンの取得が不安定でした。色々と検討したのですが、施工からやり直さないとならなかったので諦めて、プログラムの判定を甘くすることにしました。運用しながらブラッシュアップしていく。BIRDMANっぽいw。
そしてこのトイレの使い方の説明を急遽つくることに。プリントとかはできないので持って行ったiPadにアプリをその場で制作して追加。それをボードを貼るやつをかりて直接iPad貼り付けました。完全に大きすぎた展示スペースもむしろ禅っぽくて良い感じ…か?

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実はこの「何も無いスペース」が結構一目を引くらしい。なにも無い空間に奥にポスターが一枚。みんな二度見しますw。なぜ何も無い空間に人だかりが出来ているのか?2、3人が立ち止まると列が出来はじめます。そしてやはり[ZEN TOILET]というタイトルがウケていて、タイトルを目にしただけで笑い出す人も沢山いました(笑い出すほどじゃねーだろ、と思いつつ)。禅とトイレの相性が良いのは何となくイギリス人も分かるようでした。まだ体験してもいないのに「Great Concept! I love it.」っと言ってくる人が沢山いました。

さて、このTent LondonというイベントはPure Designというテーマでやっていて、インテリアや家具などのプロダクトの発表の場のようです。ここの場所自体も非常にシャレオツな街で、ワイデン&ケネディーのオフィスをはじめ、多くのデザイン会社などが集まっている街みたいです。なので、このイベントも多くのデザイナーや家具のバイヤーなどが来ていました。しかし、この街、レストランがほぼインド料理。つまりカレー屋。歩いているとカレー屋の呼び込みがハンパないです。○○○賞受賞シェフ!みたいな店がいっぱいあって、どこに入ったら良いか分かりません。適当に入りましたが、さすがに競争が激しいだけあって美味しい。カレー屋はどこに入っても美味しいと聞いていましたが、こういう事か。ちなみに夜は唯一あったベトナム料理屋で夕食。なんかここら辺は、食事を食べるところだけはなぜか夜12時になっても全然開いています。話それた。

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このイベントはデザインウィークという事だけあって見に来る人達にはデザイナーとかも多く、特にインテリアデザイナーの人達は日本のトイレの機能について知っている人達が多かったので、ZEN TOILETの話は伝わりやすかったです。普段僕らは広告を作っていて、こういうこういうアートイベントに参加することは無いし、アート作品を作ることは苦手なので(特に自分が)、そのため今回はプロダクトっぽいモノを作ったという体にしました。人がやった後に”So what?” って思われないようなモノを作る事にこだわりました。アート作品ってそういうのが多い(”So What”感と呼んでる)というか、それがアートみたいなところがあったりするのですが、そういうのが苦手なので、「体験」として腑に落ちるものを作ったことで、もの凄く分かりやすい作品になったんだと思います。60代くらいのお婆さんがやっても、操作なども迷うこと無くやってもらえたのが良かった。

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でもいくつか問題はあって、テロップの出し方によって、なかなか思うようにやって欲しいポーズをさせることが難しかった。座りながら、壁を押すように手を伸ばしてください というのを始めは” Push the wall with your arms, …” という感じで出していたら、ほんとに立ち上がって前の壁を押す人がいたり。本当に用を足している最中にこれをやっていれば途中で立ち上がったりしないんでしょうけど…。 ”Extend your arms towards the wall, …” にしたところ、押す感じではなく、手を下から上に上げるような動作になってしまったり。ここは2、3回現地で調整して、本日の最終日に”Push your arms towards the wall, …” で現在展示中です。どういう結果が出るか楽しみです。※結果的に今度は、前の壁ではなく横の壁に向かって手を広げたりする人が出たらしい…。

で、2日目も列の人が人を呼び、割と途切れることがなくトイレ待ちの列ができました。1人につきだいたい2分ちょいの体験なので、10人とか並ぶと30分近く並ぶので、さすがに申し訳なくなりました。東京デザイナーズウィークに出す時はそこをどうにか改善したいなー。待っている間も楽しめるように出来ると良いかな、と。でもイギリス人も並ぶんだな、と思ってちょっと面白かったな。

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ZEN TOILETという事だけあって、本当のトイレだと思って待っている人も数人いましたw。実は僕らは以前オーガナイザーに本当のトイレでやらせてもらえないかと交渉したのですが、断られてます(マジでやらなくて良かった…)。可能性はあるな、と思っていましたが、中には本当にパンツを下ろしてる人もいたため、トイレのフタを閉めて、その上に座ってもらうようにせざるをえませんでした。

3日目は完全にオペレーションにも熟れてきました。1日目はなかなか言うことを聞かなかったKinectも3日目にはすこぶる調子が良く、なんか学習機能があるかのごとく、ボーンもほぼ問題無く取得することが出来てました。しかし朝9時から夜8時半まで立ちっぱなしなのでかなり疲れます。僕らはこういう展示イベントが初めてなので完全に展示スペースの設計をミスってしまいました。かなり大きな何も無いスペースがあったのでそこの半分を壁で仕切っていれば、テーブルとか椅子とかを置いて快適にオペレーションが出来たはずなんですが、幅50cmほどのもの凄いバックスペースでオペレーションをする羽目になってしまいました…。ほんとにこれは後悔してます。。アドバイスくれればいいのに…。3人でオペレーションをしているので、ランチをとるのもオペレーションしながらこのバックヤードで…。

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オペレーションしながらバックヤードで食べるFish & Chipis

オペレーションしながらバックヤードで食べるFish & Chipis



 

4日目
最終日は自分が1日早く出発なので、オペレーションと撤収を梶原と啓太に任します。ごめん・・・。今これを機内で書いているのですが、今回やって良かったな、と改めて思いました。僕らは広告の仕事でインスタレーションやイベントのお手伝いなどをしていますが、クライアントワークではない、自分たちが考えたものを発表する、ということに対してすごく色々学ぶことが多かったです。クライアントワークではない、「自分たちの作品」というプレッシャーがハンパなかった。もちろん仕事と平行で進めなくてはならなかったので、今回メインの梶原、啓太を始め、開発陣は本当に大変だったと思う(同じチームで平行して動いていた仕事もen RouteのFashion Snapというこれまた世界初の試みのイベントでしびれた)。出発の2週間前までのホワイトボードにびっしり書かれたTo Doリストなど本当に開発が終わるのか、と思っていたこともありましたが(今考えても恐ろしい)。

2週間前の状態

2週間前の状態



しかし、そこは自ら「やりたい」と志願した人達が集まってやっているプロジェクト。本当にみんながんばりました。一番良かったのはみんなが楽しんでやっていたことが本当に良かった。そもそもこのイベントに参加しようと思ったのはプロモーションでもなんでもなく、スタッフのモチベーションアップのためなので。自分たちが、自分たちのために考えて制作した作品が、見に来た人達にどう受け入れられるか、というのを直接肌で感じられたのはすごく貴重な体験だと思う。しかもちゃんと普段「広告をやっている」という知識を活かして「外人」にも通じるクリエイティブを作れたのも本当に良かった。

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そんなZEN TOILETですが、急遽東京デザイナーズウィークに出展が決まりました。10月25日~11月3日です。ロンドンっ子をターゲットに制作した作品なので日本人にどう受け入れられるかは不安ですが、みんなでがんばった作品ですので是非見に来てくださいませ。
サイトはこちらです。  http://www.zen-toilet.com

是非会場で会いましょうー!

Vineで見るおつカレー会

yokokawa | 2014.8.23

こんにちは。PMの横川です。
最近観た映画では、『ジゴロ・イン・ニューヨーク』がお勧めです。
小気味よかったですよ。楽しい90分。

さて、毎月恒例おつかれさま会 aka おつカレー会。
異職種の混成チームでつくった料理をみんなで食べるイベントです。
今回は、カレーうどんをつくりました。
Vineで撮影していたので載せてみます。適当ですが、あしからず。

////////////////

11:00 近所のスーパーへ。予算に収まるか計算をしながら買い物をします。


17:00 調理開始。PCを横に置き、仕事をしながら料理を。


20:00 完成。みんなに3Fヘ来てもらって、おつカレー会スタート。


20:00 カレーを使ってピザも焼きました。カレーパンみたいでした。


21:00 おつかれさまでした! ビールでかんぱい。

BIRDMAN’s CAVE オフィス竣工写真

Roy | 2014.7.31

今更ですが10ヶ月に及ぶリノベーションを終え、
今年2月に完成した事務所の竣工写真を公開いたします。

設計:トリノス建築計画 大友 和樹
撮影:矢野紀行写真事務所

※クリックで拡大します。
 

1st Floor

1階はエントランスを中心にワークデスクが放射線状に広がっています。
現在はディベロッパー、デバイスチームの席があります。

1FLOOR  図面

1FLOOR 図面



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2nd Floor

2階のワークスペースはデスクが壁に沿って出来ています。
現在はディレクター、デザイナー、ムービーチームの席があります。

2nd FLOOR 図面

2nd FLOOR 図面



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3rd Floor

3階は2つのミーティングスペースとバーがあります。
キッチンにはピザが2分で焼けるピザ釜が設置してあり、冷蔵庫には常に冷え冷えのビールがあります。

3rd Floor

3rd Floor 図面



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Rooftop Balcony

屋上は自由に使えるバルコニーになっていて、BBQなどを頻繁に行っていますよ。
8月には神宮前の花火もばっちりです。

Rooftop Balcony

Rooftop Balcony図面



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Facade

この建物は築30年だったので外観もリノベーションしました。
Facade
以上です。近くに来たら是非遊びにきてくださいねー。

ちなみに改装前の写真も載せました。
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「ここに、自分のすべてを置いていく」最先端の現場で、コバヤシタケルが見据える未来。 – BIRDMAN メンバー紹介 Vol.3

okamoto | 2014.7.18

現場システムやデバイスの制作のみならず、あらゆる分野を得意とするコバヤシタケルさん。15年間のフリーランス活動を経て、2014年BIRDMANに入社。「この業界を引退するつもりでBIRDMANに入った」という衝撃的な発言により、インタビューは予想外の方向へ。
タケルさんが見据える、彼自身の未来とは?

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インタビュー:岡本真帆 撮影:竹内冠太 協力:伊藤拓郎、山田繭、横川遥


音楽がやりたくて東京に飛び出した、好奇心旺盛な19歳


− タケルさんは昔から「つくること」が好きだったんですか?

もともとはつくるというより、モノがどういった仕組みになっているのかにすごく興味があって。小学生の頃から機材を分解して、また戻して…というのをひたすら繰り返してましたね。
システムコンポがどうしても欲しくて、気づけば祖父が大切にしているカラオケ機器をノコギリで真っ二つに切ってた (笑)。「スピーカーとデッキの部分を分解して、コンポを作ろう!」と。結果、成功もせず、戻すこともできず…。

− 中学以降はどんなことをやっていましたか?

ほとんど音楽ばかりやってたなあ。中学のときはギターをやって、高校に上がってからはドラムとかギターとかベース、キーボード…

− え!すごい!全部やれちゃうんですか!

人が足りていないパートを、「しょうがないから俺がやるよ」って(笑)。助っ人みたいにいろんなことをやるうちに、できる楽器も増えてって。

IMG_0166高校卒業後は音響工学を学びたいな、と専門学校に行こうとしていたんですが、たまたま受けた青森の大学に受かったので、そっちに進学しました。でも、まったく講義に興味がなくって(笑)。バンドばっかりやってて、単位が足りなくなって。見事一年にして留年が決定しそうになったときに、「やっぱり音楽がやりたいから東京に行きます!」と宣言して、辞めちゃいました。

− 東京に出たのはいくつのときですか?

19歳です。秋葉原でゲーム販売のバイトを見つけて、面接に行ったら「うち楽器も扱ってるよ」という話になったので、そこの中古楽器屋のバイトを5年くらい。秋葉原ということもあって、機材好きには天国のような場所だったなあ。
その傍ら、ライブ活動をしたり、ジングルや効果音を作ったりマニピュレーターをやったりと、音楽漬けの毎日でしたね。

音楽を中心に、やりたいことをやっていたら今の自分ができた


− そこから今の業界に移ってきた転機ってなんだったんですか?

1990年ぐらいかな。僕が24歳の頃、映像編集が自宅のPCでもできるような時代になってきて、自分たちのバンドのPVやライブで使う映像を自分で作りたい衝動で、映像編集やCGを独学で覚えました。その後すぐに“マルチメディア”の波がやってきて。コンテンツを触ると、曲が流れたり映像が流れたり、アニメーションしたり、情報が見られたり。今でいうWEBコンテンツをCD-ROMの中に詰め込んだようなもの。まだインターネットが発達していなかったので、自分でプログラムを覚え組んで自分のバンドのコンテンツや作品を詰め込んで配布したり、売ったりしてました。

− それが今の原点なんですね。

音楽の仕事だけじゃ食えなくなってしまったので、マルチメディア制作会社に入りました。でも、自分のスキル不足が原因でその会社での最初の仕事が事故ってしまって。会社に結構な損害を与えてしまったんですよ。

− えっ!それは大変ですね…

とにかく自分の不甲斐なさと申し訳ないという気持ちで、必死に技術を覚え仕事しました。気づけば、ご指名をいただけるレベルになってきて、1999年に会社を辞めてフリーになりました。その後インターネットが発達してWEBコンテンツが出始めたので、その流れでFlashの技術を習得して、WEB業界に移っていきました。

   

   


− タケルさんは「業界では知る人ぞ知る有名人」というポジションだと思うんですが…そういう風に言われ始めたのって、いつ頃からなんでしょうか?

いや、それはどうなのかな?周りが勝手にそう言ってるだけだと思う(笑)。
その当時はそこまで最先端のことはやってなかったんだけど、仕事がとにかく早かったから、口コミで仕事をいただけるようになりました。中には「事故っちゃう寸前なのでコバヤシさん、お願いします!」みたいな案件もあって。1ヶ月かかる仕事を3日でやるような。ここでは言えないような修羅場をくぐり抜ける中で、経験値がどんどんたまっていったところはあるかもしれません(笑)。

− なるほど!タケルさんには、「この人にお願いすれば何とかなるだろう」と思える安心感や、
スピード感があると思うんですが、フリーの頃の経験が今に繋がっているのかもしれないですね。


ターニングポイントは、イギリスのVJイベント『AVITUK05』


− intelの『PUSH for Ultrabook』やCEATEC2013で展示されたHONDAの巨大ヤカンといったデバイスやセンサーを使った制作に携わるようになっていったのはいつ頃からですか?

ターニングポイントは、2005年だと思います。
2000年から、29970(ニキュウキュウナナゼロ)というクリエイティブチームに所属しVJをやってたんです。2005年にAVITUK05というイギリスで開かれたVJイベントに、縁があり自分たちも参加することになり。そこで“インタラクティブVJ”をやろうと企みました。

− それはどんなものだったんでしょうか?

スクリーンの前に立って、スプレー缶型デバイスでお絵かきをすると、グラフィティが映像的に派生していく、というものです。スプレー缶型デバイスの中にはセンサーが入っていて、角度や位置を把握できる。そのデバイスを作ったり、専用のプログラムやシステムをつくったり。表現するための手段としてデバイスやセンサーにのめり込んでいきました。

フリーを辞めてBIRDMANに入社したのは“PUSH”がきっかけだった


仕事ではWEBの案件から現場の案件にシフトしていきますが、それまでのアウトプットはディスプレイだったりスピーカーや照明だったり。でも、なんだか物足りなくなってきてしまってて、いつしかソレノイドやモーター、エアーなどを使ったりして“モノを動かす”ことに少しずつハマっていきました。そんな時期にタイミングよく(社長の)ロイさんから『PUSH for Ultrabook』の仕事の依頼があって。「コインドーザーつくりたいんだよね。つくれる?」と。ちょうどロボットアームに興味があっていろいろ調べている最中だったので、まだ扱ったことはなかったんですが「じゃあロボットアームでやってみよう!」という話になりました。

− そこからロボットアームの免許を取得されたんですよね。「できない」と言わないところが、タケルさんのすごいところだと思います。

「知らないからできない」というのは、もどかしさがあって。「できるよ」って言えるように陰ながら努力をしています。

− タケルさんがBIRDMANに入ると決まったとき、この業界はどよめいたと思うんですよ。「えっあのタケルさんが!?」って。何か思うところがあったんですか?

04-僕はそのどよめきを知らないけど(笑)、でも実際BIRDMANに入るきっかけになったのは、やっぱりこの“PUSH”だったのかな、と思います。
みんなで一緒に制作を進めていく感じがすごく羨ましかったんです。もちろん自分もその輪の中にいるんだけど、あのとき自分は外注として加わっていたじゃないですか。なんか…外注寂しいなって(笑)。


− たしかに、スタッフが一丸となって制作に取り組んでいたあの案件は特に、文化祭のようでわくわくしました。

IMG_0212_capそうそう。あと、理由はもう一つあって。
他の会社さんからも声がかかることも多かったので、「自分はどこに入ったらおもしろいか?」というのはよくシミュレーションしてたんです。
何かに特化した専門の会社ではなくて、“専門分野の違う人たちがバランスよく集まっているところ”がいいんじゃないかなと。そこに、タイミングよくBIRDMANからのお誘いがあったんです。プランニングからローンチまで、案件をトータルでできる人たちが集まっている。この会社だったら色んな分野の人と何でも作れる、自分のやりたいことがやり切れると感じてフリーを辞めて入社を決意しました。

− 実際にBIRDMANに入ってみてどうでしょうか?

やっぱり、みんなで進めていく感じが、すごくおもしろい。15年間のフリーのときにはなかった楽しさがありますね。コラボレーションではなくチームワーク。
また新しいステージに来てしまったな、という実感があります。

   

   


「BIRDMANに自分のすべてを置いていく」


実は…この業界を引退するつもりで、BIRDMANに入ったんです。

− え!?引退されるんですか!?

入ったばかりなのにおいおいって感じですが、遅かれ早かれこの業界はBIRDMANで最後にしようと考えてて。いつしか引退する以上、今までこの業界で手に入れた自分の知識やノウハウをBIRDMANにすべて託していきたいと思っています。

僕の中の今の大きなテーマが、「何かを残すこと」なんです。生まれてきたからには自分の子孫を残す、みたいな。自分に影響されたスタッフがいたら本望だし。自分のコードやデバイスや思考が継承されていったりするのも面白い。残したものがどう進化していくか、それともどう消えていくかを想像しながらつくってます。
しかし実際にスタッフと仕事をしていると、今まで以上に学ぶことが多いです。これが結構楽しい。自分がまだまだ進化してしまう感じがある。なので引退するのはまだ先ですかね (笑)。

「すべてが興味で回ってるんです」


IMG_0342− 最後に、今後の目標について教えてください。

周りに興味があるものが多すぎて、目標とかいまだに定まらない(笑)。でもこれからも変わらないのは、興味あるものは何でもつくり尽くすことですかね。
すべてが興味で回ってるんです。ただ、それがどうなってるか知りたくて、それ以上のものをつくりたくって。
それは昔も今も変わっていないところです。









コバヤシ タケル・Technical Director / Device Engineer / Programmer
1973年生まれ。福島県会津若松市出身。映像、音楽、WEB、システム制御、デバイス、メカトロニクスと、ソフトウェアもハードウェアもmakeする両刀使いディベロッパー。
15年間のフリーランスを経て、2014年1月BIRDMANに入社。これまで担当した案件は『PUSH for Ultrabook』(intel)、『オンガクの結晶 〜ULTIMATE EXPERIMENCE』(SONY)、『KIRIN DREAM RACE』(KIRIN)、『「CanCam」電車連動サイネージ』(小学館)など。


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同じ釜の飯を食うことについて。

yokokawa | 2014.7.4

はじめまして。PMの横川です。
最近観た映画では、『her/世界でひとつの彼女』がお勧めです。
スパイク・ジョーンズ、まったく素晴らしいですね。

さてさて。
マグロ漁船みたい、と言われたり言われなかったりするBIRDMANですが、
中の人たちは意外と平和に働いてますよ、ということを伝えるべく、
日常の様子について書いてゆこうかなーと思っています。
楽しそうに見えるといいなあ。。

今日は「フライデーフリーランチ」について。
6月から毎週金曜日に始まったイベントで、
その名のとおり、金曜日の無料お昼ごはん。
スタッフみんなが3Fに集まって、
ケータリングやデリバリーのお弁当をいただく1時間になっています。

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そして、築地さんがファシリテーションしつつ、
オープンマイク的に各自気になることや最近取り組んでいることを話すのです。
BIRDMANブログでおなじみBAPAに通うデザイナー・三島さん
編集スパルタ塾に通うコピーライター・岡本さんが講義の内容を報告してくれたり、
デバイスエンジニアのタケルさんや
ディベロッパーの前田さんが気になっている技術を話してくれたり。
築地さんは、先日のカンヌライオンズで気になった広告についてお話ししたり。
サッカーが大好きなAD・渡部さんは、
ワールドカップ日本代表について解説者をしのぐ講評をしてくれて大喝采でした。
みんなが普段考えていることや興味のあることが分かるのは良いなーと思います。

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先週は、岡本さんが出した「席替えしませんか?*」という質問から
「そもそもチーム制ってどう思う?」という問いに発展し、みんなの意見を聞くことに。
それぞれの考え方が聞けたり、改善点が見つかったり、有意義な話ができました。
(* BIRDMANは、チームごとに1Fと2Fに分かれて席が配置されてます)

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というわけで、スタートから1か月が経った「フライデーフリーランチ」。
今後は個々の発表だけではなく、会社への要望や会社でしたいことなど、
環境を良くするための意見を議論する場としても使われることになりました。
こうやって、トライアンドエラーしながら
みんなで方法を探してく感じがBIRMDANぽいなーと思ったりしました。
これからどんな意見が出てどう変わっていくのかも楽しみです。

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ちなみにこれまでケータリング&お弁当を提供してくださったのは、
赤木商店さん、ネコメシ。さん、KIRARAさん、Dexee Deliさんです。
おすすめケータリング&お弁当屋さんがあったらぜひ教えてくださいませ。

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そいでは、また。

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